会話から考え方を類推する問題

問題

⑦ ななさんとやすしさんが、2ケタの数のたし算について会話をしています。 この文章を読んで、次の問に答えなさい。

【ななさん、やすしさん、の会話】

やすしさん: 「ななさん、2ケタの自然数のなかにあるおもしろい性質をみつけたわ。2ケタの自然数を1つ考えてみて。」

ななさん: 「なんでもいいの。じゃあ35でいいかな。」

やすしさん: 「[その数]と[その数の十の位の数と一の位の数を入れかえた数]をたしてみて。 35の十の位の数と一の位の数を入れかえた数は53だから、2つの数をたすと35+53=88になるね。」

ななさん: 「別の数でいくつかやってみて。 14なら、14の十の位の数と一の位の数を入れかえた数は41だから、2つの数をたすと14+41=55。 75なら、75の十の位の数と一の位の数を入れかえた数は75だから、2つの数をたすと75+75=132。」

やすしさん: 「98なら、式は (ア) = (イ) だから……。あっ!! [2ケタの自然数]と[その数の十の位の数と一の位の数を入れかえた数]の和はいつも(イ)になる。」

ななさん: 「さすが、やすしさん。おもしろいことに気がついたね。 気がついたことが、いつも成り立つことを文字を使って説明して。」

やすしさん: 「えっ、文字を使って説明するの。数学の時間にやった問題と同じ考えだよね。えっと……。 はじめに考えた2ケタの自然数の十の位の数をm、一の位の数をnとおくと、

したがって、[2ケタの自然数]と[その数の十の位の数と一の位の数を入れかえた数]の和は、いつも (イ) になる。」


(1) (ア)(イ) にあてはまる式や語句を書きなさい。

(2) やすしさんの説明をかきなさい。

(3) (イ) は、別の表し方をすることもできます。(1)の(イ)とは別の表し方を書きなさい。


解答と解説

(1) (ア)、(イ) にあてはまる式や語句を書きなさい。

答え

  • (ア)98 + 89
  • (イ)11の倍数

解説

  • (ア)について: やすしさんの発言「98なら、式は (ア) = (イ) だから…」は、これまでの例と同じ計算をすることを意味します。 もとの数は「98」。 十の位と一の位を入れ替えた数は「89」。 この2つの和の式が(ア)にあたるので、98 + 89 となります。

  • (イ)について: 会話の流れから、やすしさんは計算結果の共通の性質に気づきました。これまでの例を見てみましょう。

    • 35 → 35 + 53 = 88 ($=11 \times 8$)
    • 14 → 14 + 41 = 55 ($=11 \times 5$)
    • 75 → 75 + 57 = 132 ($=11 \times 12$)
    • 98 → 98 + 89 = 187 ($=11 \times 17$) すべての結果が 11の倍数 になっています。この性質が(イ)にあたります。 (※問題文のななさんの発言「75なら~入れ替えた数は75だから」は「57」の誤りですが、計算結果は正しいのでそのまま進めます。)

(2) やすしさんの説明をかきなさい。

答え はじめに考えた2ケタの自然数の十の位の数をm、一の位の数をnとおくと、 もとの自然数は $10m+n$ と表せる。 また、十の位と一の位の数を入れ替えた数は $10n+m$ と表せる。 この2つの数の和は、 $(10m+n) + (10n+m)$ $= 11m + 11n$ $= 11(m+n)$ $m+n$ は整数なので、$11(m+n)$ は11の倍数である。

したがって、[2ケタの自然数]と[その数の十の位の数と一の位の数を入れかえた数]の和は、いつも (イ) になる。

解説 これは、(1)で見つけた性質が「本当にいつでも成り立つのか」を文字式で証明する問題です。

  • ステップ1:文字で数を表す 十の位がm、一の位がnの数は、$mn$ ではなく $10 \times m + n$ と表すのが最大のポイントです。(例: 35は $10 \times 3 + 5$)
  • ステップ2:入れ替えた数を表す 入れ替えた数は、十の位がn、一の位がmになるので $10n+m$ となります。
  • ステップ3:2つを足して整理する $(10m+n) + (10n+m)$ のカッコを外し、$m$の項と$n$の項をまとめると、$11m+11n$ となります。
  • ステップ4:結論を導く $11m+11n$ は、分配法則の逆を使って $11(m+n)$ と変形できます。これは「11 × (整数)」の形なので、必ず11の倍数になることが証明できました。

(3) (イ)は、別の表し方をすることもできます。(1)の(イ)とは別の表し方を書きなさい。

答え もとの自然数の、十の位の数と一の位の数の和の11倍

解説 (2)の証明の最終的な形は $11(m+n)$ でした。

  • 11 はそのまま数字の11です。
  • (m+n) は何でしょう? $m$ は「もとの数の十の位」、$n$ は「もとの数の一の位」でした。つまり、(m+n) は「もとの数の各位の数の和」を意味します。

したがって、「11の倍数」という性質は、より具体的に「もとの数の各位の数の和を11倍した数」である、と言い換えることができます。 実際に確かめてみると、

  • 35の場合 → $(3+5) \times 11 = 8 \times 11 = 88$
  • 98の場合 → $(9+8) \times 11 = 17 \times 11 = 187$ となり、成り立っていることがわかりますね。

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