【数学II解説】剰余の定理で余りを求める3つのパターン!難問x^102も複素数なら一撃?

【問題】 剰余の定理・整式の割り算

画像の問題文は以下の通りです。

  1. 整式 $$P\left( x \right)$$ を $$x+2$$ で割ると余りが $$4$$、$$x-1$$ で割ると余りが $$-5$$ であるとき、$$P\left( x \right)$$ を $$x^2+x-2$$ で割った余りを求めよ。

  2. 整式 $$P\left( x \right)$$ を $$x^2-1$$ で割ると余りが $$2x+4$$、$$x^2-4$$ で割ると余りが $$-x+10$$ であるとき、$$P\left( x \right)$$ を $$x^2+x-2$$ で割った余りを求めよ。

  3. 整式 $$x^{102}$$ を $$x^2+1$$ で割った余りを求めよ。


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解説を読む前に、まずは紙とペンを用意して、自分の力で答えを出してみましょう。

剰余の定理は「公式を覚えているか」ではなく「式の形を作れるか」が勝負です。 手を動かして、行き詰まるところまでやってみることが大切です。

準備はいいですか? それでは、解説を始めます。ちゃんと自分の力で解いてみましたか?


【解説】 剰余の定理と式変形の鉄則

こんにちは!スマスクの数学講師です。

今回のテーマは、数学IIの「式と証明」分野から、**剰余の定理(じょうよのていり)**を使った問題です。 この単元は、中間・期末テストはもちろん、大学入試でも頻出の「超重要パターン」です。

最難関大の入試でも、この基礎的な考え方を応用する問題がよく出ます。 多くの生徒がつまずくのは、「何を文字でおいて、何に代入すればいいか」の整理ができなくなる点です。

ポイントはたった一つ。 「割り算の基本等式」を作る ことです。 つまり、

$$ \text{(割られる式)} = \text{(割る式)} \times \text{(商)} + \text{(余り)} $$

この形を必ず最初に書く癖をつけましょう。これさえできれば、あとはパズルを解くようなものです。

1. 基本的な剰余の定理の問題

まずは、割る式 $$x^2+x-2$$ を因数分解してみましょう。

$$ x^2+x-2 = \left( x+2 \right)\left( x-1 \right) $$

2次式で割った余りは、1次以下の式になるので、求める余りを $$ax+b$$ とおきます。 すると、基本等式は次のように書けます。

$$ P\left( x \right) = \left( x+2 \right)\left( x-1 \right)Q\left( x \right) + ax+b $$

ここで、問題文の条件を使います。

  • $$x+2$$ で割ると余りが $$4$$ $$\rightarrow P\left( -2 \right) = 4$$
  • $$x-1$$ で割ると余りが $$-5$$ $$\rightarrow P\left( 1 \right) = -5$$

この2つの情報を、先ほどの式に代入して連立方程式を作りましょう。 $$Q\left( x \right)$$ の部分は $$0$$ になって消えるので、計算が楽になりますよ。

2. 余りの情報から必要な値を導く応用問題

今度は少し複雑です。 「$$P\left( 1 \right)$$ はいくつ?」「$$P\left( -2 \right)$$ はいくつ?」という情報が直接書かれていません。 しかし、問題文にはヒントが隠されています。

求めたいのは $$x^2+x-2 = \left( x+2 \right)\left( x-1 \right)$$ で割った余りなので、やはり $$P\left( 1 \right)$$ と $$P\left( -2 \right)$$ の値が知りたい ですよね。

そこで、与えられた2つの条件式を作ってみます。

  1. $$x^2-1 = \left( x-1 \right)\left( x+1 \right)$$ で割ると余りが $$2x+4$$

    $$ $$

    $$ $$

    P\left( x \right) = \left( x-1 \right)\left( x+1 \right)Q_1\left( x \right) + 2x+4

    $$ $$

    $$ $$

    この式に $$x=1$$ を代入すれば、$$P\left( 1 \right)$$ が求まりそうです。

  2. $$x^2-4 = \left( x-2 \right)\left( x+2 \right)$$ で割ると余りが $$-x+10$$

    $$ $$

    $$ $$

    P\left( x \right) = \left( x-2 \right)\left( x+2 \right)Q_2\left( x \right) -x+10

    $$ $$

    $$ $$

    この式に $$x=-2$$ を代入すれば、$$P\left( -2 \right)$$ が求まりそうです。

必要な「材料」を自分で探しに行く、探偵のような視点が必要な問題ですね。

3. 高次式の割り算と虚数の活用

$$x^{102}$$ なんて計算できない!と焦らないでください。 割る式が $$x^2+1$$ であることに注目します。

$$ x^{102} = \left( x^2+1 \right)Q\left( x \right) + ax+b $$

ここでもし、$$x^2+1=0$$ となるような数、つまり $$x^2 = -1$$ となる $$x$$ を代入できれば、$$Q\left( x \right)$$ を消すことができます。 そう、虚数単位 $$i$$ ($$i^2 = -1$$)を使うのが一番早いです。

$$x = i$$ を代入すると、左辺はどうなるでしょうか?

$$ i^{102} = \left( i^2 \right)^{51} = \left( -1 \right)^{51} = -1 $$

これを利用して、係数比較で解いていきます。

【解答】 剰余の定理・次数下げのテクニック

1. 求める余りを $$ax+b$$ とおくと、

$$ P\left( x \right) = \left( x+2 \right)\left( x-1 \right)Q\left( x \right) + ax+b \quad \cdots ① $$

条件より、剰余の定理を用いて

$$ P\left( -2 \right) = 4, \quad P\left( 1 \right) = -5 $$

①に $$x = -2, 1$$ をそれぞれ代入すると

$$ \begin{cases} -2a + b = 4 \ a + b = -5 \end{cases} $$

これを解いて、$$a = -3, b = -2$$ よって、求める余りは

$$ -3x-2 $$

2. 条件より

$$ P\left( x \right) = \left( x-1 \right)\left( x+1 \right)Q_1\left( x \right) + 2x+4 $$

これより $$P\left( 1 \right) = 2\left( 1 \right) + 4 = 6$$

また、

$$ P\left( x \right) = \left( x-2 \right)\left( x+2 \right)Q_2\left( x \right) -x+10 $$

これより $$P\left( -2 \right) = -\left( -2 \right) + 10 = 12$$

求める余りを $$ax+b$$ とおくと、$$x^2+x-2 = \left( x+2 \right)\left( x-1 \right)$$ なので

$$ P\left( x \right) = \left( x+2 \right)\left( x-1 \right)Q\left( x \right) + ax+b $$

$$P\left( 1 \right) = 6$$ より $$a+b=6$$ $$P\left( -2 \right) = 12$$ より $$-2a+b=12$$ これを連立して解くと、$$3a = -6$$ より $$a = -2$$。よって $$b = 8$$。 求める余りは

$$ -2x+8 $$

3. 求める余りを $$ax+b$$ とおくと

$$ x^{102} = \left( x^2+1 \right)Q\left( x \right) + ax+b $$

両辺に $$x = i$$ (ただし $$i^2 = -1$$)を代入すると、$$i^2+1=0$$ より右辺の第1項は消える。 左辺は

$$ i^{102} = \left( i^2 \right)^{51} = \left( -1 \right)^{51} = -1 $$

よって

$$ -1 = ai+b $$

$$a, b$$ は実数であるから、実部と虚部を比較して

$$ a = 0, \quad b = -1 $$

求める余りは

$$ -1 $$

【まとめ】 剰余の定理完全攻略のポイント

  • 基本式の徹底: $$P(x) = (\text{割る式}) \times Q(x) + (\text{余り})$$ の形を必ず書く。
  • 代入する値の見極め: 「割る式 = 0」となる $$x$$ の値を代入して、商 $$Q(x)$$ を消去する。
  • 情報の抽出: 2番のような問題では、既存の式に値を代入して、必要な $$P(\alpha)$$ の値を自分で作り出す。
  • 高次式の処理: $$x^2+1$$ で割る場合は、$$x^2 = -1$$ (つまり $$x=i$$)を代入すると計算が劇的に楽になる。

【解き直しのすすめ】 「わかったつもり」を実力に変える

解説を読んで、「なるほど、連立方程式を解くだけか」と安心しませんでしたか?

実は、多くの生徒を見てきましたが、解説を聞いて『わかったつもり』になっても、実際にテストで解こうとすると「あれ? どっちの式に代入するんだっけ?」「符号はどうなるんだっけ?」と手が止まってしまう子が本当に多いんです。

「解説を読んで理解すること(インプット)」と「自分の力で解けること(アウトプット)」は全く別物です。

特に2番のような問題は、情報の整理ができないとパニックになります。 今すぐ、この画面を閉じてください。 そして、「何も見ずに」 白紙の状態から、自力で正解を導き出せるか、もう一度トライしてみましょう。それができて初めて、あなたの実力になります!

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